柳秀直特命全権大使 ご挨拶

2020/10/14
柳 秀直
 私は9月15日にドイツへの転勤発令を受けて、10月半ば過ぎにはヨルダンを去ることになりました。ヨルダンでは2年10ヶ月強の勤務でしたが、ヨルダン大使として、これまで皆様から受けた温かいご厚情とご支援に改めて感謝いたします。なお、後任として、これまで駐チェコ大使を務めてきた嶋﨑郁大使が11月に着任の予定です。
 それでは、前回、5月末のご挨拶以降のヨルダンの状況と私の活動について、簡単にまとめましたので、お読み頂ければ幸甚です。なお、日本とヨルダンの関係では,9月2日,アブドッラー国王と、退陣を表明した安倍総理との間で電話会談が行われ、国王は安倍総理の貢献を高く評価されました。
 
1.新型コロナウイルス関連
(1)ヨルダン政府による措置の段階的緩和
 ヨルダン政府はラマダン終了時の5月22日(金)から24日(日)まで、再度三日間の強制的外出禁止を実施しましたが、その後、徐々に規制を緩和し、6月5日(金)から、それまで続いてきた金曜日の強制的外出禁止を止め、徒歩のみによるモスクの礼拝を再開し、12日からは金曜日の規制も解除されました。その翌日の6日(土)以降、夜間外出禁止時間も従来の午後7時から午前8時を大幅に短縮し、午前0時から6時の6時間とし、それまで自動車に課していた、偶数・奇数ナンバープレートによる1日おきの走行禁止措置も解除しました(外出禁止令は、その後7月25日から、午前1時から6時までに短縮され、その後は午前0時開始、午後11時開始に変更されたこともありますが、9月11日から再び午前1時から午前6時までとなりました)。
(2)当館の対応
 以上の措置を踏まえ当館も、週末の一部を除きほぼ毎日出していたコロナ関連の領事メールを6月半ばから週2回に減らしました。また、空港閉鎖は続いていたものの、徐々に臨時便の頻度も増える中、出国を希望される在留邦人の方への支援も、外出禁止の時間が短くなり、また、車が自由に走れるようになったので、臨時便の情報提供とヨルダン政府への氏名の通報程度で済むようになってきました。
 私の要人との面会も、外交団との関係では6月中旬頃から徐々に行えるようになり、7月になるとヨルダンの方との仕事上のアポイントも入るようになりました。そうした私の活動については、下記2.でご報告します。
 他方、9月後半からの感染状況の悪化を踏まえて、窓口業務に変更を与えない範囲で、再度、当館職員は在宅勤務とのローテーション制に移行し、また、必要な範囲で領事メールの頻度も増やしています。
(3)国際線の再開と感染状況の悪化
 8月上旬に再開されるとの話があった空港は、ようやく9月8日から再開されましたが、各国の規制との関連もあり、今のところ定期便を飛ばしているのは、カタール航空、エミレーツ航空、トルコ航空の三社のみで、それも毎日ではない状況です。
 こうした中で感染者数の増加を踏まえ、8月28日と9月4日の二回の金曜日、アンマンとザルカのみで包括的外出禁止が実施されましたが、このときはこれだけで解除されました。しかるに、9月に入り感染者数が急増し、それまで二桁にとどまっていた感染者数が8日に初めて三桁となり、その後も増加傾向に歯止めがかからず、9月30日には初めて四桁となりました。そのため、9月1日に一旦再開した学校も17日から再びオンラインとなり、10月9日(金)からは、当面、毎週金土に包括的外出禁止措置がとられることになりました。
 
2.首相の交代
 9月27日、国王は、任期が切れた上院の約3分の2を入れ替えると共に、任期満了となった下院の解散を宣言しました。憲法に従い、ラザーズ首相は10月4日辞任を表明し、同7日、国王はハサーウネ政策担当国王顧問を首相に指名し、12日からハサーウネ内閣が始動し、サファディ外相やイシス財務相を含む計8名が留任し、新たに23名の閣僚が任命されました。なお、下院議会選挙は、発表された通り、11月10日に行われる予定です。
 
3.この期間の活動
(1)国際協力関連
ア 国際機関
 令和元年度補正予算で各国際機関に対して支援を決めたプロジェクトの広報については、ヨルダン政府が引き続き20名以上の人が集まることを禁じており、私が外に出て行ってプロジェクトの開始式典等に出席して広報を行うことが事実上不可能なので、各国際機関には以下のように日本の支援をプレイアップするためのプレスリリースを発出してもらいました
5月27日 UNHABITAT:アンマン市の洪水対策への支援(USD 978,709)
6月4日 UNFPA:アズラックキャンプでの母子保健プロジェクトへの支援(30万ドル)
6月7日 UNOPS:王立医療サービスへの医療機材の支援(130万ドル)
7月2日 UNWOMEN:ザアタリ及びアズラックキャンプにおける難民女性への支援(USD 666,600、エジプト、イラクを含めた地域プロジェクトの内ヨルダン分のみ)
 また、国際機関邦人職員の皆様との第二回連絡協議会を7月27日に大使館において、感染予防措置をとった上で開催し、約20名の方に出席頂きました。その後、徐々にアンマンでの活動が正常化したことを受けて、8月6日にUNOPS代表、16日にFAO代表、9月17日UNFPA代表、10月1日にUNWOMEN代表の表敬を受けました。
 
イ ヨルダン政府向け
   7月27日に、新型コロナウイルス対策のための4億円相当の医療機材の供与に関する交換公文に、ジャーベル保健大臣同席の下、ラバディ計画・国際協力大臣との間で署名を行いました。また、翌28日には、 平成10年度無償資金協力案件であるバルカ県にあるザイ浄水場の施設を、宮原JICA所長と共に視察したところ、アブ・サウード水・灌漑大臣が同行してくれました。
 
(2)要人表敬
 7月12日に、ヨルダンの経済系シンクタンクであるヨルダン戦略フォーラムのサイフCEO、9月13日には、2001年と2002年に訪日されたアブー・ラーギブ元首相と、2006年に国王に随行して訪日されたハティーブ元外相を表敬しました。
 
(3)領事関係
 9月5日(土)に、3月半ば以来新型コロナウイルスのためにずっと閉鎖され、行事も延期されていたヨルダン日本語補習授業校の2019年度卒業証書授与式と2020年度入学式に出席し、挨拶をさせて頂きました(授業は8月21日(金)から再開)。なお、当地在留邦人の数は新型コロナウイルス発生前には約320名おられたのが、一時200名を切るまでに減少しましたが、9月の空港再開以降、戻ってこられる方も出てきているので、徐々に増加傾向にあります。
 
(4)離任表敬
 9月15日の発令以降は離任の挨拶を始め、23日から29日にかけて、タラーウネ下院議長、ファーイズ上院議長を表敬したほか、サファディ外相、ハラブシェ環境・農業相、アダーイレ・メディア担当相、ジャーベル保健相、ラバディ計画・国際協力相、アブ・サウード水・灌漑相、シャワルベ・アンマン市長、そしてフネイティ・ヨルダン軍統合参謀議長に離任のご挨拶を行いました。
 
4.安全
 この期間中、新型コロナウイルス対策で警備も強化されていたので、邦人が巻き込まれるような大きな犯罪もテロ事件も発生していませんが、在留邦人の皆様におかれましては、引き続き、運転、安全、特に深夜の時間帯について、ご注意頂ければと思います。
 他方、残念ながら、9月に入って以降、新型コロナウイルスの感染状況が悪化し続けています。皆様におかれましても、可能な限りの感染予防措置をとって頂くよう、よろしくお願いいたします。
 
5.結語
 2年10ヶ月強の間、私の挨拶文をご愛読頂き、有り難うございました。ヨルダンにおける皆様のますますのご活躍とご健康を祈念しております。    


駐ヨルダン特命全権大使  柳 秀直


<過去のご挨拶>

 
ザイ浄水場の視察
ファーイズ上院議長 表敬
ヨルダン戦略フォーラムCEO 表敬 ヨルダン戦略フォーラムCEO 表敬
「経済社会開発計画」交換文書署名式