柳秀直特命全権大使 ご挨拶

平成31年4月10日
 雨が多く寒い冬も終わり,アンマンではようやく春らしい好天も少し続くようになってきましたが,如何お過ごしでしょうか。日本では4月末の天皇陛下の御退位,5月1日の皇太子殿下の新天皇陛下御即位を控え,新天皇の時代の元号も「令和」と決まり,新しい時代への期待が膨らむ毎日となっているようです。
 前回のご挨拶は12月上旬でしたので,その後の3ヶ月半の出来事についてご紹介します。

1.ロンドン会議
 この期間における重要な出来事としては,2月末にロンドンで行われたヨルダン経済のための会議が挙げられます。これは難民の受け入れ等で苦しい状況にあるヨルダンに投資,成長の機会を作るべく,英国とヨルダンが共催したもので,ヨルダンからはアブドッラー国王,ラザーズ首相以下の主要閣僚が出席して行われました。我が国からは佐藤外務副大臣が出席し,日本は今後5年間に7億3千万ドル(新たなコミットは4億3千万ドル)の借款・無償支援をプレッジし,ヨルダン及び国際社会から,高く評価されました。

2.要人往来,要人との会談
 要人往来としては,昨年12月14日に河野外務大臣がカタール訪問に先だってアンマンに立ち寄られ,サファディ外相との間で,昨年11月末の国王訪日の際に合意された外相戦略対話の第1回会合を実施しました。また,河野大臣はアンマンで勤務されている5人の国連邦人職員と意見交換の機会を持たれました。
 私自身は,今年になり新たに任命されたマアーニー教育大臣とシュウェイカ観光・遺跡大臣を2月に表敬させて頂きました。また,3月5日には交換公文署名の際に,カウワール計画・国際協力大臣とも意見交換の機会がありました。その他,12月後半にはラウジー上院外交委員長,3月6日には下院のヨルダン日本友好議連,4月2日には下院の外交委員会との意見交換の機会も得ました。

3.開発援助関連
(1)ヨルダン政府に対する援助として、3月5日にカウワール大臣との間で、ヨルダンにおける防災能力向上のための防災・消防庁への消防車両の供与に関する無償援助(5億円)のための交換公文に署名しました。また、23日には、過去に円借款で作り、その後一旦閉鎖されていたカラク考古学博物館の再開を祝う行事に出席し、挨拶をさせて頂きました。
(2)草の根・人間の安全保障無償としては、2月4日に「アズラック・シリア難民キャンプ内視聴覚力診療所の機材・設備整備計画」のために国際キリスト教正教会慈善団体との贈与契約に署名し、また、3月4日には「低所得女性の雇用機会創出のための調理器具支援計画」のためにコーカサス慈善協会婦人部との贈与契約に署名しました。
(3)国際機関との関係では、日本の支援でIOM(国際移住機関)が実施している国境管理能力支援のためのプロジェクトとして、1月21日に外務省領事局改修の完成式典に、また、2月11日にはヨルダン軍とIOMのパートナーシップ覚書の調印式に出席しました。4月4日にはUNIDOがイルビッドとマフラックで実施する職業訓練事業の開始式典(イルビッド開催)に参加してきました。
 そのほか、国際機関の代表等関係者とヨルダン政府の関係機関、邦人職員を招いたレセプションを3月25日に開催しました。ヨルダンにおける邦人職員の数はいよいよ20名を超したところです。

4.叙勲・講演・文化など
 1月24日には、リファイ前世界観光機関事務局長への旭日大綬章の叙勲伝達式を行いました。ヨルダン人のリファイ氏は、マドリッドに本部がある世界観光機関の事務局長を2010年から2017年まで務め、東日本大震災後の観光復興のためのシンポジウムへの協力や、日本へのインバウンド観光客の増加に向けての観光政策への助言などの貢献が高く評価されたものです。
 一方、私は2月6日にヨルダン大学国際関係学部において、日本の外交政策と日・ヨルダン関係について講演を行う機会を得ました。
 3月7日には渡辺守成国際体操連盟会長(IOC委員)が、ヨルダン・オリンピック委員会のハムダーン副会長、ヨルダン体操連盟のハッタール専務理事と共に、大使館を訪問されました。
 また、3月11日には、ヨルダン国立美術館で行われた、ヨルダン人女性の方が中心となって行われた草月生け花展覧会を観賞させて頂きました。同じく11日には、これから日本で留学する国費留学生4名の壮行会を開催しました。
 
5.在留邦人との関わり
 日本人の方との関係では1月17日に公邸で新年会を開催しました。また、3月22日には日本語補習校の卒業式に来賓として招かれ挨拶をさせて頂きました。3月30日にはヨルダン在住の日本人女性有志による日本文化を紹介する集いを訪問し、小原流生け花、琴の演奏、日本舞踊などを鑑賞させて頂きました。
 
6.安全について
 最後に安全について一言申し上げます。これまでテロの危険については何度か注意喚起させて頂きましたが、昨年来、経済情勢の悪化が背景にあるのか、邦人の方がアンマンや観光地で一般犯罪の被害に遭うケースが増えています。基本的なことですが、外出の際に多額の現金を持ち歩いたり、ジムなどのロッカーに入れることなどないように、また、特に女性の皆様におかれては昼間であっても人通りの少ないところにはなるべく近づかないよう、ご注意下さい。一般犯罪についても、ちょっとした注意によって回避することは可能です。ヨルダンは中東の国の中では比較的治安の良いところと言われていますが、日本に比べれば数段治安が悪いということは決して忘れないで下さい。
また、外国に旅行される際には「たびレジ」への登録をお願いいたします。
 



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