柳秀直特命全権大使 ご挨拶
令和元年9月3日
長かった夏も徐々に終わりに近づき、学校は新学期が始まる頃となりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。今回は4月初めから約5ヶ月の間の私の活動についてご報告させて頂きます。
1.天皇陛下のご即位
この期間中最大の出来事は何と言っても、5月1日の徳仁天皇陛下のご即位です。アンマンでは2日に私の公邸で、即位祝賀レセプションを開催しました。当日は、ラアド・ビン・ザアド王子の出席を得て、アブサウード水・灌漑大臣からご挨拶を頂き、ヨルダンの政治、経済界の名士、在留邦人代表など約140名に出席して頂きました。また、5日から7日まで大使館で祝賀記帳を受け付け、王宮府を代表してイーサーウィー王宮府長官に記帳に来て頂いたほか、ヨルダンの方、外交団、在留邦人の多くの方に記帳して頂きました。また、アブドッラー国王からは徳仁天皇陛下に対し、お祝いのメッセージが出されています。
2.ジュデ上院議員(元副首相兼前外相)の叙勲
ナセール・ジュデ上院議員(元副首相兼前外相)が8年間にわたり外務大臣を務め,対日関係に貢献したという功績で、旭日大綬章を受章されました。同議員は、訪日し、5月23日に皇居での親授式に出席され、徳仁天皇陛下より直接叙勲されました。私はその時期、日本に一時帰国中でしたので、ジュデ議員が旧知の岸田自民党政調会長(前外相)、日本ヨルダン議連田中和徳会長、中山事務局長と会われた際に同席させて頂きました。
3.要人への表敬
5月初めに内閣改造が行われ、新しく就任された閣僚のうち4人に表敬を行いましたが、いずれの大臣からも、これまでの日本の支援に感謝の意が伝えられました。6月18日に、ダーウード首相府担当国務大臣を訪問したところ、同大臣からは、首相府担当国務大臣として、政府内の調整機能を高めていくという説明がありました。また、23日にハンマード内務大臣を表敬し、私から在留邦人の安全確保や各種警備等日頃からの協力について謝意を伝えました。30日には、イシス計画・国際協力担当兼経済担当大臣を表敬したところ、日本の支援に対する感謝と共に、日本からの投資に対する期待が示されました。7月4日にはバターイネ労働大臣を表敬した際には、今後の協力への期待が表明されました。
4. 開発援助関係
(1)ヨルダンとの二国間援助では、4月18日、ペトラ博物館が開館し、フセイン皇太子にご臨席を頂き、カウワール計画・国際協力大臣、JICA越川副理事長の出席も得て、開館式典が開催され、私も出席しました。また、7月31日には、イシス新計画・国際協力大臣との間で、アカバの税関に対する17億300万円の無償資金協力の交換公文に署名しました。JICAの宮原所長も出席されました。
6月27日には、現在、大日本土木社により進められているバルカ県ディルアラ地区(ヨルダン渓谷、2014年度・第一次計画)と、アインアルバアシャ地区(アンマン北方、2017年度・第二次計画)における送配水網改修計画の工事の進捗状況を視察しました。多くのヨルダン人と日本人の方が日陰も少ない暑い中で従事しており、今年11月には工事が完了し、改修、拡張された配水網による給水が行われるようになるとのことでした。
(2)国際機関への援助の関係ではこの期間に多くの行事に出席しました。4月9日に、我が国の支援を受けてFAOが実施した「ホストコミュニティのシリア難民及び脆弱なヨルダン人に対する社会安定化及び生計支援」プロジェクトの終了式に、アル・シャハーデ農業大臣と共に出席しました。また、11日には我が国が支援する新規の食糧支援プロジェクトの立ち上げに際し、WFP事務所を訪れました。14日にはアズラック・シリア難民キャンプにて行われた昨年度補正予算によるUNFPA案件「シリア難民女性、少女、少年、青年に対するリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供」プロジェクトの開始式典に出席し、また、4月30日にはシリア国境に近いイルビッド県でICRCが日本等からの支援を受けて行った給水ポンプの改修完工式典に、アブサウード水・灌漑大臣と共に出席しました。5月1日には同じくUNICEFが日本の支援により水・衛生事業(具体的にはトイレ、洗面施設の改修・増設)を実施するアンマン南東部の学校を視察しました。
7月1日には国際赤十字連盟(IFRC)が日本の支援を得て開始したヨルダンにおける「コミュニティでの健康・応急処置普及活動」プロジェクトの5周年イベントを視察しました。国際赤十字連盟のヨルダン事務所には日本赤十字社から常に二人の看護師を派遣して頂いており、この日も勝占さん、安部さんのお二人と、ベイルートから来られた五十嵐さんが活躍されていました。10日にはアズラック難民キャンプ内で、UNWOMENの行った職業訓練コースの終了式典に、18日にはUNODC(国連薬物犯罪事務所)が警察機関との協力の下に策定した「社会再統合センター強化計画戦略」の立ち上げ式に、また、23日にはUNOPSが王立医療センターで行う「キングフセイン医療センターの改修及び機材調達計画」の開始式に出席しました。いずれも日本の資金援助で行っているプロジェクトですので、私も挨拶を行いました。
更に、30日には、ヨルダン訪問中のUNDPシュタイナー総裁とシャワールベ・アンマン市長の出席も得て、我が国の支援の下にUNDPがアンマン市との協力の下に実施するダウンタウン地区の再開発を目指す「Heart of Amman」プログラムの署名式に出席しました。
(3)草の根・人間の安全保障無償の案件では、4月15日に、視覚障害者扶助組合において、ハッサン王子(元皇太子)のご臨席も得て、視覚障害者用展示教育機材整備計画の機材供与式に出席し、また、6月23日には、ヨルダン家族計画擁護協会において「母子保健センター超音波検診機器更新計画」の機材供与式に出席しました。なお、7月17日にイルビッドで行われた「パレスチナ難民キャンプ診療所医療機材供与計画」の供与式典には、都合により多田次席に出席してもらいました。
4.文化
7月4日から22日まで講道館から藤田真郎元全日本柔道連盟国際委員長(8段、初代ヨルダンナショナルチームコーチ)がヨルダンの柔道の指導のためにお見えになりました。最終日には柔道西アジア選手権が開催され、私もハッサン王子(元皇太子)が出席する開会式に招いて頂き、勝利した選手に金メダルを授与する機会をアレンジして頂きました。
7月14日にはクダー・ヨルダン大学学長を表敬し、ヨルダン大学と日本の大学の交流の強化の方途について議論しました。30日にはヨルダン大学で日本語弁論大会が開催され、昨年同様、日本のJーPOPの詞の朗読と、弁論部門は「日本語を学んで」というタイトルで競われました。
8月1日はアンマンの西隣のキリスト教徒が多い街であるフヘイスのRowaq Al-Baraqa Foundationのギャラリーと、ハッタール・フヘイス市長を訪問しました。同ギャラリーを保有するダウード氏は、日本の芸術家にも同ギャラリーを訪れて滞在してもらい、コラボを実現したいとの希望を表明されました。どなたか、関心を持って頂ける日本の芸術家の方がいると良いのですが。
5.在留邦人の関連
例年は5月に行っている日本人会総会が、今年はラマダンのために、6月21日に開催され、私も出席させて頂きました。また、7月5日から13日まで、参議院選挙の在外投票が行われました。今回、改めて、選挙人登録を済まされている方があまり多くないことに気がついたので、今後、選挙人登録をこれまで以上に積極的に呼びかけていきたいと思っています。これからご案内する予定ですが、10月には参議院埼玉選挙区の補欠選挙が予定されています。また、同じく10月には感染症専門家による健康安全講話も予定していますので、皆様のご参加をお待ちいたします。
6.安全
昨年来、厳しい経済状況を反映して、アンマンでは銀行強盗、窃盗、空き巣等の一般犯罪も増加傾向にあるとの印象があります。このため、4月10日に初めて大使館の多目的ホールで在留邦人の方46名の出席も得て、安全対策連絡協議会を開催しました。在留邦人の皆様におかれては、引き続き身の回りへの注意を怠らないようお願いいたします。また、アンマンのみならず国内各地において、政府の政策への抗議や政治的要求を掲げる抗議活動も連続して発生しています。思わぬ混乱に巻き込まれる可能性もありますので、デモ隊が集結している場所や行進している場所には、できるだけ近づかないようにご注意願います。更に、テロのリスクも依然として存在していると考えられるので、不特定多数の人が多く集まる場には不用意に近づかないよう、よろしくお願いいたします。
加えて、ヨルダンは11月以降、鉄砲水や洪水などが発生しやすくなりますので、日頃から天気予報に注意されることをお勧めします。
<過去のご挨拶>
1.天皇陛下のご即位
この期間中最大の出来事は何と言っても、5月1日の徳仁天皇陛下のご即位です。アンマンでは2日に私の公邸で、即位祝賀レセプションを開催しました。当日は、ラアド・ビン・ザアド王子の出席を得て、アブサウード水・灌漑大臣からご挨拶を頂き、ヨルダンの政治、経済界の名士、在留邦人代表など約140名に出席して頂きました。また、5日から7日まで大使館で祝賀記帳を受け付け、王宮府を代表してイーサーウィー王宮府長官に記帳に来て頂いたほか、ヨルダンの方、外交団、在留邦人の多くの方に記帳して頂きました。また、アブドッラー国王からは徳仁天皇陛下に対し、お祝いのメッセージが出されています。
2.ジュデ上院議員(元副首相兼前外相)の叙勲
ナセール・ジュデ上院議員(元副首相兼前外相)が8年間にわたり外務大臣を務め,対日関係に貢献したという功績で、旭日大綬章を受章されました。同議員は、訪日し、5月23日に皇居での親授式に出席され、徳仁天皇陛下より直接叙勲されました。私はその時期、日本に一時帰国中でしたので、ジュデ議員が旧知の岸田自民党政調会長(前外相)、日本ヨルダン議連田中和徳会長、中山事務局長と会われた際に同席させて頂きました。
3.要人への表敬
5月初めに内閣改造が行われ、新しく就任された閣僚のうち4人に表敬を行いましたが、いずれの大臣からも、これまでの日本の支援に感謝の意が伝えられました。6月18日に、ダーウード首相府担当国務大臣を訪問したところ、同大臣からは、首相府担当国務大臣として、政府内の調整機能を高めていくという説明がありました。また、23日にハンマード内務大臣を表敬し、私から在留邦人の安全確保や各種警備等日頃からの協力について謝意を伝えました。30日には、イシス計画・国際協力担当兼経済担当大臣を表敬したところ、日本の支援に対する感謝と共に、日本からの投資に対する期待が示されました。7月4日にはバターイネ労働大臣を表敬した際には、今後の協力への期待が表明されました。
4. 開発援助関係
(1)ヨルダンとの二国間援助では、4月18日、ペトラ博物館が開館し、フセイン皇太子にご臨席を頂き、カウワール計画・国際協力大臣、JICA越川副理事長の出席も得て、開館式典が開催され、私も出席しました。また、7月31日には、イシス新計画・国際協力大臣との間で、アカバの税関に対する17億300万円の無償資金協力の交換公文に署名しました。JICAの宮原所長も出席されました。
6月27日には、現在、大日本土木社により進められているバルカ県ディルアラ地区(ヨルダン渓谷、2014年度・第一次計画)と、アインアルバアシャ地区(アンマン北方、2017年度・第二次計画)における送配水網改修計画の工事の進捗状況を視察しました。多くのヨルダン人と日本人の方が日陰も少ない暑い中で従事しており、今年11月には工事が完了し、改修、拡張された配水網による給水が行われるようになるとのことでした。
(2)国際機関への援助の関係ではこの期間に多くの行事に出席しました。4月9日に、我が国の支援を受けてFAOが実施した「ホストコミュニティのシリア難民及び脆弱なヨルダン人に対する社会安定化及び生計支援」プロジェクトの終了式に、アル・シャハーデ農業大臣と共に出席しました。また、11日には我が国が支援する新規の食糧支援プロジェクトの立ち上げに際し、WFP事務所を訪れました。14日にはアズラック・シリア難民キャンプにて行われた昨年度補正予算によるUNFPA案件「シリア難民女性、少女、少年、青年に対するリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供」プロジェクトの開始式典に出席し、また、4月30日にはシリア国境に近いイルビッド県でICRCが日本等からの支援を受けて行った給水ポンプの改修完工式典に、アブサウード水・灌漑大臣と共に出席しました。5月1日には同じくUNICEFが日本の支援により水・衛生事業(具体的にはトイレ、洗面施設の改修・増設)を実施するアンマン南東部の学校を視察しました。
7月1日には国際赤十字連盟(IFRC)が日本の支援を得て開始したヨルダンにおける「コミュニティでの健康・応急処置普及活動」プロジェクトの5周年イベントを視察しました。国際赤十字連盟のヨルダン事務所には日本赤十字社から常に二人の看護師を派遣して頂いており、この日も勝占さん、安部さんのお二人と、ベイルートから来られた五十嵐さんが活躍されていました。10日にはアズラック難民キャンプ内で、UNWOMENの行った職業訓練コースの終了式典に、18日にはUNODC(国連薬物犯罪事務所)が警察機関との協力の下に策定した「社会再統合センター強化計画戦略」の立ち上げ式に、また、23日にはUNOPSが王立医療センターで行う「キングフセイン医療センターの改修及び機材調達計画」の開始式に出席しました。いずれも日本の資金援助で行っているプロジェクトですので、私も挨拶を行いました。
更に、30日には、ヨルダン訪問中のUNDPシュタイナー総裁とシャワールベ・アンマン市長の出席も得て、我が国の支援の下にUNDPがアンマン市との協力の下に実施するダウンタウン地区の再開発を目指す「Heart of Amman」プログラムの署名式に出席しました。
(3)草の根・人間の安全保障無償の案件では、4月15日に、視覚障害者扶助組合において、ハッサン王子(元皇太子)のご臨席も得て、視覚障害者用展示教育機材整備計画の機材供与式に出席し、また、6月23日には、ヨルダン家族計画擁護協会において「母子保健センター超音波検診機器更新計画」の機材供与式に出席しました。なお、7月17日にイルビッドで行われた「パレスチナ難民キャンプ診療所医療機材供与計画」の供与式典には、都合により多田次席に出席してもらいました。
4.文化
7月4日から22日まで講道館から藤田真郎元全日本柔道連盟国際委員長(8段、初代ヨルダンナショナルチームコーチ)がヨルダンの柔道の指導のためにお見えになりました。最終日には柔道西アジア選手権が開催され、私もハッサン王子(元皇太子)が出席する開会式に招いて頂き、勝利した選手に金メダルを授与する機会をアレンジして頂きました。
7月14日にはクダー・ヨルダン大学学長を表敬し、ヨルダン大学と日本の大学の交流の強化の方途について議論しました。30日にはヨルダン大学で日本語弁論大会が開催され、昨年同様、日本のJーPOPの詞の朗読と、弁論部門は「日本語を学んで」というタイトルで競われました。
8月1日はアンマンの西隣のキリスト教徒が多い街であるフヘイスのRowaq Al-Baraqa Foundationのギャラリーと、ハッタール・フヘイス市長を訪問しました。同ギャラリーを保有するダウード氏は、日本の芸術家にも同ギャラリーを訪れて滞在してもらい、コラボを実現したいとの希望を表明されました。どなたか、関心を持って頂ける日本の芸術家の方がいると良いのですが。
5.在留邦人の関連
例年は5月に行っている日本人会総会が、今年はラマダンのために、6月21日に開催され、私も出席させて頂きました。また、7月5日から13日まで、参議院選挙の在外投票が行われました。今回、改めて、選挙人登録を済まされている方があまり多くないことに気がついたので、今後、選挙人登録をこれまで以上に積極的に呼びかけていきたいと思っています。これからご案内する予定ですが、10月には参議院埼玉選挙区の補欠選挙が予定されています。また、同じく10月には感染症専門家による健康安全講話も予定していますので、皆様のご参加をお待ちいたします。
6.安全
昨年来、厳しい経済状況を反映して、アンマンでは銀行強盗、窃盗、空き巣等の一般犯罪も増加傾向にあるとの印象があります。このため、4月10日に初めて大使館の多目的ホールで在留邦人の方46名の出席も得て、安全対策連絡協議会を開催しました。在留邦人の皆様におかれては、引き続き身の回りへの注意を怠らないようお願いいたします。また、アンマンのみならず国内各地において、政府の政策への抗議や政治的要求を掲げる抗議活動も連続して発生しています。思わぬ混乱に巻き込まれる可能性もありますので、デモ隊が集結している場所や行進している場所には、できるだけ近づかないようにご注意願います。更に、テロのリスクも依然として存在していると考えられるので、不特定多数の人が多く集まる場には不用意に近づかないよう、よろしくお願いいたします。
加えて、ヨルダンは11月以降、鉄砲水や洪水などが発生しやすくなりますので、日頃から天気予報に注意されることをお勧めします。
<過去のご挨拶>